セラピストコレクション(セラコレ)のような合同イベントに出店が決まったとき、いちばん困るのは「普段のやり方がほとんど使えない」ことではないでしょうか。
会場はいつものお店ではありません。持ち時間は数時間しかありません。目の前を通る人の大半は、あなたを今日はじめて見る人です。それなのに、告知も予約の受け方も「いつもの出勤日」と同じ形で出してしまい、当日になって枠が埋まらない、あるいは埋まったのに終わったら何も残らなかった——というのは、よくある結末です。
この記事では、合同イベント出店日を1日だけ外に支店を出す日として設計し直します。少ない枠を先行予約で売り切る手順と、当日会えた新規のお客様を「その日限りのお客様」で終わらせないための記録・フォローの型をまとめました。
合同イベント出店は、自店のイベントとは別物
まず前提を揃えます。同じ「イベント」でも、自分のお店でやるイベントと、他店と一緒に出る合同イベントは、予約設計の観点でまったく違います。
| 自店のイベント(周年祭・メガ割など) | 合同イベント(セラコレ等の外部出店) | |
|---|---|---|
| 会場 | いつものお店 | 普段と違う会場 |
| 持ち時間 | 通常の出勤時間 | 数時間の枠(短い) |
| 枠の数 | 普段と同じかやや多い | 普段より明確に少ない |
| 来る人 | 本指さん・リピさん中心 | 大半がはじめまして様 |
| 予約導線 | いつもの窓口がそのまま使える | 主催・会場のルールに従う |
| 終わったあと | 翌週も同じ場所で会える | 次に会える場所が変わる |
いちばん大きいのは最後の行です。自店のイベントなら「また来週も居るので」で済みますが、合同イベントはその会場でもう二度と会えません。だから当日の売上より、終わったあとに何人が自分のお店に来てくれたかのほうが重要な指標になります。
なお、自店のお得系イベントと個人の出勤を1投稿で連動させる型は「店舗イベント × 個人出勤の連動投稿テンプレ」、周年祭のような開催日が決まった短期イベントの告知は「周年祭・イベントの事前予約を満枠にする告知術」、数週間続く順位イベントの導線は「総選挙・ランキングイベント期間の予約導線」で扱っています。この記事は、それらとは前提が違う外部会場・単日・新規中心のケースに絞ります。
なぜイベントの新規客は「その場限り」で終わるのか
イベントで会えた人が続かないのは、接客が悪かったからではありません。構造的に3つの断絶があるからです。
1. その人はまだ「イベントのファン」で、あなたのお客様ではない
合同イベントに来る人は、多くの場合「そのイベントに行きたくて」来ています。目当てのセラピストが1人だけとは限らず、当日に何人もと会っています。つまりあなたと過ごした時間は、その人の1日の一部でしかありません。
ここを「気に入ってもらえたから、また来てくれるはず」と読み違えると、こちらから何も動かずに終わります。イベント当日の好感触は、継続指名の予約ではありません。
2. 連絡先が、イベントの導線の中に閉じている
当日のやり取りは、会場の受付や主催のシステム、あるいはその場の口頭で完結しがちです。するとあなたの手元には何も残りません。「よかったらまた来てくださいね」と伝えたきり、相手からの次のアクションを待つ形になります。
3. 当日は忙しすぎて、記録が取れない
これが最も見落とされます。短時間に立て続けに人と会うので、終わったころには誰がどんな人だったか混ざっています。名前もハンドルネームもうろ覚え、話した内容は思い出せない。翌日にお礼を送ろうとして、「あの人、なんて呼べばいいんだっけ」で手が止まる。
イベントが終わった時点で記録が無ければ、その日の出会いは次の日にはほぼ消えます。
Step 1: 実際に受けられる枠数を先に確定させる
設計はここから始めます。イベント日の枠数は、普段の感覚より確実に少なくなります。
減る理由は3つあります。
- 持ち時間そのものが短い(数時間の出店であることが多い)
- 入れ替えに時間がかかる(会場が不慣れ、動線が長い、共用スペースの順番待ちがある)
- 前後に移動と設営がある(会場入り・準備・撤収は稼働時間から引く)
そのため、「出店時間 ÷ コース時間」で計算すると必ず溢れます。次のように引き算してください。
| 項目 | 例 |
|---|---|
| 出店時間 | 6時間(12:00〜18:00) |
| − 会場入り・準備 | 30分 |
| − 撤収 | 20分 |
| − 入れ替え(1枠あたり+10分 × 枠数) | 40分(4枠想定) |
| = 実際に施術に使える時間 | 約4時間30分 |
| ÷ 1枠の実所要時間(60分コース想定) | 70分 |
| = 受けられる枠数 | 3〜4枠 |
1枠あたりの実所要時間がコース時間と一致しない理由は、「1日に予約を何枠まで受けるか」で詳しく扱っています。イベント日はここがさらに膨らむと考えてください。
枠数を先に確定させる意味は、告知の言葉が変わることです。 「イベント出ます」ではなく「イベント当日は4枠だけです」と書けるようになります。数が小さいほど、先に押さえる理由が伝わります。
Step 2: 先行予約で8割を埋める。当日枠に賭けない
合同イベントの枠は、当日の飛び込みでは埋まりません。理由は単純で、会場に来た人はその場で複数の選択肢を比べているからです。何も決めずに行けば、目についた人のところに流れます。
だから、枠の8割は事前に売り切っておく設計にします。4枠なら3枠を先行予約で埋め、残り1枠を当日の飛び込み用に空けておく形です。
告知は3段階に分ける
| タイミング | 伝えること | 目的 |
|---|---|---|
| 3週間前 | 出店が決まったこと・日付・会場 | 予定を空けてもらう |
| 1〜2週間前 | 枠数・受付開始日時・受け方 | 先行予約を集める |
| 前日〜当日朝 | 残り枠・当日の合流方法 | 最後の1枠と、当日客の確保 |
3週間前の告知が要るのは、イベントは移動をともなうからです。普段のお店なら「今日行こうかな」で行けますが、会場が違えば予定を組む必要があります。「行くつもりだったのに気づいたら当日だった」という取りこぼしは、日付の告知が遅いときに起きます。
「最前列先行予約」を、早い者勝ち以上の意味にする
先行予約に呼び名をつけて特別扱いする形は有効です。ただし「早い者勝ち」だけだと、押さえた人がいちばん得をしている実感を持てません。
先行で押さえてくれた方には、次のうち1つを添えてください。
- 時間を選べる(先行の方から順に希望時間を確定する)
- 当日の待ち時間がゼロ(会場で並ばずに済む)
- その場でしか渡せないもの(当日のご挨拶、写真、次回に使える特典)
いちばん効くのは2つめです。イベント会場は待ち時間が読めません。「確実にこの時間に会える」ことは、当日客が絶対に手に入れられない価値です。ここを言葉にしてください。
先行告知そのものの書き方は「「次回出勤◯/◯」先行シフト告知で事前予約を積む方法」に型があります。イベントでも構造は同じです。
受付の窓口は1本に絞る
イベント時は「主催の予約フォーム」「お店のネット予約」「あなたへの直接連絡」が同時に走ることがあります。このまま放置すると、必ず重複します。
対策はシンプルで、どの経路で入っても最後は自分の手元の1画面に集めることです。主催側で受け付けた分は、確定した時点で自分の予約表に転記します。転記を後回しにすると、直接連絡で入った予約と同じ時間に人を入れてしまいます。重複が起きる仕組みと防ぎ方は「姫予約のダブルブッキングを防ぐ方法」にまとめています。
告知に載せる予約先も、できるだけ1本にします。複数の窓口を並べると、お客様は「どこから取るのが正解か」で迷い、迷った人はそのまま予約しません。導線を1本化する考え方は「「予約はこのリンクから」一本化のすすめ」で扱っています。
Step 3: 当日は「記録が取れない前提」で設計する
イベント当日、丁寧にメモを取る時間はありません。だからあらかじめ、取る項目を減らしておきます。
その場で残すのは4項目だけです。
| 項目 | 例 | なぜこれだけでいいか |
|---|---|---|
| 呼び方 | 「◯◯さん」 | 翌日の連絡の宛名になる |
| 見た目・特徴を1つ | 「メガネ・黒キャップ」 | 名前だけだと本人と結びつかない |
| 話したことを1つ | 「仕事帰りに寄れる場所を探している」 | 次の連絡の書き出しになる |
| 次に興味があったか | 「◯/△/×」 | 追いかける優先順位が決まる |
4つで15秒もかかりません。接客が終わって次の方が来るまでの間に、スマホに打ち込むだけです。
「あとでまとめて書く」は必ず失敗します。イベントは連続で人と会うので、3人目の記憶が2人目を上書きします。終わってから思い出せるのは、印象が強かった1人か2人だけです。
なお、イベントで会った人は普段と違う名前で現れることがよくあります。会場では本名やイベント用のハンドルネームを名乗り、後日SNSでは別のアカウント名で連絡してくる、というケースです。同じ人を別人として記録してしまう問題と、その束ね方は「「この人、誰だっけ」をなくす顧客管理」で詳しく扱っています。
P-Book なら、予約を確定した画面からそのままメモを残せます。 予約とお客様の記録が同じ場所にあるので、「イベント当日の3人目」が誰だったかを、後日の予約履歴からたどれます。
Step 4: 終了後48時間が、継続指名の分かれ目
イベントが終わった直後は、相手の熱量がいちばん高い状態です。しかし同時に、その人はその日に何人ものセラピストと会っています。時間が経つほど、あなたの記憶は他の人と混ざっていきます。
動くのは48時間以内です。やることは3つだけです。
1. その日のうちにお礼の公開投稿を出す
まず、会えた方全員に向けた投稿を1本出します。ここには必ず「次にどこで会えるか」を書いてください。
本日のセラコレ、来てくださった皆さまありがとうございました!
はじめましての方が本当に多くて、うれしい1日でした🌷
次は◯◯(お店)で、
8/21(金)12:00〜
8/23(日)15:00〜
に出勤します。イベントでお会いした方は、
ご予約の際に「セラコレで」とだけ添えてください。
当日お話しした内容から続きでご案内します🙌
「セラコレで」の一言を添えてもらう形にしておくと、イベント経由のお客様を後から数えられます。これが Step 5 の材料になります。お礼投稿から次枠につなげる型は「接客直後の「ありがとう」投稿で次枠を即埋める3要素テンプレ」にまとめています。
2. 個別の連絡は、公開投稿と同じ内容にしない
全員に同じ文章を送ると、受け取った側はすぐに分かります。Step 3 で残した「話したことを1つ」を、書き出しに使ってください。
◯◯さん、本日はありがとうございました!
「仕事帰りに寄りやすい場所を」とおっしゃっていたので、
平日の夜枠を中心にご案内できます。
今週は 8/21(金)の19時以降が空いています🈳
短くて構いません。相手が話した内容が1行入っているだけで、「その他大勢」から外れます。
3. 次の枠を、選択肢として一緒に出す
「またお願いします」で終わらせず、具体的な日付を2〜3個添えます。人は選択肢が示されると答えやすくなり、「行きたい」を「いつ行く」に変換できます。次回予約を取るタイミングと聞き方は「次回予約の取り方」で扱っています。
出勤予定をまとめて見せたい場合は、日付を打ち直さずに済む形にしておくと、この作業が一気に軽くなります(→「来週の出勤予定を1つのURLでまとめて共有する方法」)。
Step 5: 30日後に「残った人数」を数える
合同イベントの評価は、当日の売上ではありません。イベント後30日で、何人が自分のお店に来たかです。
数える項目は3つだけで足ります。
| 指標 | 数え方 | 判断 |
|---|---|---|
| 当日会えた人数 | 施術した枠数+挨拶だけの方 | 分母 |
| 30日以内の来店数 | 「セラコレで」と添えてくれた予約 | これが本当の成果 |
| 2回目以降に進んだ人数 | 上のうち再来した人 | 継続指名になった人 |
たとえば当日4人に会って、30日以内の来店が1人、そのうち再来が1人なら、その1人はイベントが生んだ本指さんです。当日の売上が普段より低くても、この1人が続けば投資として成立します。
逆に、当日は満枠だったのに30日後の来店がゼロなら、当日の接客ではなく終了後の動き(Step 3・4)を見直すサインです。イベント自体をやめる判断は、ここまで数えてからにしてください。
こうした振り返りに必要なのは、記憶ではなく記録です。誰にいつ会って、その後どうなったかを残す方法は「お客様ノートをデジタル化するメリットと方法」にまとめています。
合同イベント特有の、気をつけたいこと
主催・お店のルールを先に確認する
会場で使える予約導線、連絡先交換の可否、撮影の可否はイベントごとに違います。「いつものお店では大丈夫だから」で進めると、当日に止められます。次の4つは事前に確認してください。
- 自分の予約窓口(LINE・DM)を会場で案内していいか
- 当日の飛び込みを受けていいか、受付は主催側を通すのか
- 撮影・SNS投稿はどこまで可能か
- 割引や特典を自分の判断でつけていいか
値引きで差をつけようとしない
同じ会場に他店のキャスト・セラピストが並びます。ここで価格を下げると、当日は勝てても、後日あなたのお店に来たときの価格が高く感じられます。イベントは「安いから会う」ではなく「この人に会いたい」を作る場です。差をつけるなら、当日渡せるもの(次回に使える特典、その場での丁寧な案内)に寄せてください。特典の原価の考え方は「事前予約したくなる特典の作り方」にあります。
「会場が違う」ことを軽く見ない
出店先が普段の勤務地と離れている場合、当日の連絡は移動中に来ます。「今どこですか」「あと10分で着きます」といった連絡が続くので、返信できない時間帯が発生する前提で設計してください。会場を移して働く日の予約管理は、遠征と共通する部分が多くあります(→「遠征キャストの予約管理術」)。
口コミを取りにいく
イベントで会った方は、感想を書いてくれる可能性がいちばん高い層です。当日の空気が良かったなら、お礼の連絡に一言添えるだけで反応が変わります。依頼の仕方は「お客様に口コミを書いてもらう依頼のしかた」にまとめています。
よくある質問
Q. 出店が急に決まって、告知期間が1週間しかありません
その場合は枠数をさらに絞ります。3週間前の告知ができないなら、事前予約は集まりにくいと考えて、当日枠を多めに残す設計に切り替えてください。そのうえで、本指さん・リピさんへの個別連絡を優先します。公開告知だけで埋めようとすると間に合いません。
Q. 当日、思ったより人が来ませんでした。空き枠はどうすればいいですか
会場の中でできることは限られるので、空いた時間は記録と発信に使ってください。会えた方のメモを整えて、その場から「今なら◯時からご案内できます🈳」と発信する。イベント会場に来ている人はSNSも見ているので、当日の投稿は普段より届きます。
Q. イベントで交換した連絡先に、どのくらいの頻度で連絡していいですか
48時間以内に1回、その後は出勤告知の通常運用に混ぜるのが基本です。イベント後に個別連絡を何度も送ると、営業感が先に立ちます。1回目の連絡で反応がなかった方は、公開の出勤告知で追いかけるだけにしてください。
Q. 当日に会えなかった人(挨拶だけの人)も記録すべきですか
はい。むしろその層のほうが人数が多いことがあります。呼び方と特徴の2項目だけで構いません。「今日は入れなかったけど話しかけてくれた人」は、次の機会に来てくれる可能性が高い見込み客です。
Q. 他店に在籍しているキャストと同じ会場でした。お客様が流れてしまいませんか
流れる可能性はあります。ただし比べるべきは「流れるかどうか」ではなく、イベントに出なければそもそも会えなかった人であることです。イベントは新規接点を作る場なので、既存客の維持ではなく新規獲得の指標で評価してください。新しい場所で接点を作った直後の動き方は「新しい媒体に在籍を増やした初週の予約の作り方」と考え方が共通します。
Q. イベント経由のお客様に、特別な扱いをしたほうがいいですか
初回だけで十分です。2回目以降は通常のお客様と同じ扱いにしてください。「イベントで会った人」という区分をいつまでも持ち続けると、通常のお客様との差が生まれて運用が複雑になります。記録上の「イベント経由」というラベルは、Step 5 で数えるためだけに使います。
まとめ|評価するのは当日の売上ではなく、30日後の来店数
合同イベントの出店日は、いつもの出勤日の延長ではありません。会場が違い、時間が短く、目の前の人の大半があなたを知らない——この3条件を前提に組み直す必要があります。
- 移動・準備・入れ替えを引いて、実際に受けられる枠数を先に確定させる
- 枠の8割を先行予約で埋める。告知は3週間前・1〜2週間前・前日の3段階
- 先行予約の価値は「早い者勝ち」ではなく「確実にこの時間に会える」
- 予約窓口が複数あっても、最後は自分の1画面に集めて重複を防ぐ
- 当日は4項目だけをその場で記録する(あとでまとめては必ず失敗する)
- 48時間以内に、お礼の公開投稿+個別連絡+次の日付2〜3個
- 30日後に「イベント経由の来店数」を数えて、次回の出店を判断する
イベント当日が満枠だったかどうかは、途中経過にすぎません。その日に会った人のうち何人が、次はあなたのお店に来てくれたか。 そこまで数えて、はじめて合同イベントは新規獲得チャネルになります。
そして、それを数えられるかどうかは、当日の15秒のメモにかかっています。姫予約の仕組み全体は「姫予約とは?仕組み・メリット・始め方をわかりやすく解説」でも解説しています。
P-Book なら、イベント日の枠も普段の出勤日の枠も、同じタイムライン上に並びます。主催側で受けた予約と直接いただいた予約を1画面にまとめられるので、当日の重複を防げます。予約を確定するときにお客様のメモを一緒に残せるため、「イベントで会ったあの方」が後日どこから予約してきても、話の続きからご案内できます。
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